私が新型コロナウイルスに感染してから、早いもので1ヶ月が経ちました。
味覚・嗅覚障害の後遺症はすっかり収まっています。
ただ、時々せりあがるような咳が出ます。
夜中に咳が出て目が覚めることもしばしば…
いやー、本当に厄介な病気です。
今回は、後遺症を発症してからの私の心情の変化についてお伝えします。
2回にわたって新型コロナウイルス感染症による味覚・嗅覚障害の体験をお話ししました。
症状や改善のための対策をなるべく客観的にお伝えしたつもりです。
今回は番外編として、後遺症が出てから現在に至るまでの私の気持ちの変化についてお話します。
また後遺症を発症した当事者の視点で、家族や周囲に
「こんなふうに見守ってくれるとありがたいな」
と感じたことをお伝えします。
味覚・嗅覚障害は、とても面倒な後遺症です
見た目は「健康」だから厄介だった
とにかくまず1番に言いたいことは。

味覚・嗅覚障害って、周囲に理解されにくいよね…
私がどんなに後遺症に怯え、不安な気持ちを抱えていたとしても…
家族や周囲の人から見れば「健康」そのものなわけです。
梅干しやらっきょうのにおいも味もしなくなった時、心底絶望しました。
翌日も翌々日も状況は変わりませんでした。
味がしない、においが嗅げないって、想像以上に恐怖なんですよ。
こんなにも味覚や嗅覚に影響されていたのかと、思い知らされました。
ご飯を食べるのが苦痛でした。
ご飯を作るのが不安でした。
本当に、世界が色褪せていくような感覚です。
この心理的ダメージは、大怪我と同等の深い傷だと痛感しました。
ですが、熱もなく体も動けます。
洗濯も買い物も、家事も育児も出来ます。
周りには、いまいち事の重大さが伝わっていないようでした。
正直、悔しくてもどかしかったです。
今なら思います。
もっと積極的に自身の症状を伝えましょう。
出来ること、出来ないことをはっきりを伝えましょう。
今どれだけ恐怖や不安を抱えているか、しっかりと言葉にしましょう。
症状が改善するしないに関わらず、周囲との温度差をなくしておくことが大切です。
弱音を吐けない妻と、気づかない夫の会話

気持ちが沈むし、料理を作る気がなくなる…
あー、なんかどんどん追い詰められていく感じがする
少し私のお話をします。
私自身、全く弱音を吐くタイプではありません。
基本的に、悩んでも解決しないことは悩みません。
悩む時間がもったいないし、ネガティブな出来事に振り回されたくないからです。
熱が出ても、夫に頼むのが面倒だから全部自分でやっちゃいます。
…要は「周囲に甘えられない典型的なタイプ」です。
(夫は声を掛ければしっかり家事をしてくれるんですけどね♪)
ですから、味と匂いを全く感じなくなった時、その事実だけを夫に伝えました。

へー、そりゃ大変だね〜!!
(正直よくわかんないな…ま、いつもどおりでいいか)

…そうだね!!!
(全然伝わってなさそう…明日からご飯作るの大変そうだな)
振り返ると、早い時期から詳細な症状や不安を吐露しておけばよかったと思います。
味が何もしない状況で家族4人分のご飯を作るのは、本当に心情的にしんどかったです。
こんな思いで、いつの間にか追い詰められながら毎食作ってました。
もし私が一人暮らしだったら、確実に食事を摂ることを諦めていたと思います。
味のわからないものを作り、味のしないものを食べる。
それは苦痛以外の何者でもなかったですから。
もともと料理は好きなのに、準備〜調理〜食事〜後片付けがたまらなく嫌に…。
元来の性格が邪魔をして、なかなか本音を言えなかったからです。
ものの数日で、悲しさとイライラがマックスになりました。
思い切って夫にこう言いました。

…味がしないから、食事を作るのがとても負担です!
味付けは最低限しかしないから、あとはケチャップでも醤油でも各自好きな調味料掛けて!
あと、今は出来合いの惣菜とかカップ麺をもっと食べて!

そんなに大変だったんだね(汗)
なんにも知らなくてごめんね
みんなで好きなように味付けする!出来るところまでで大丈夫だよ〜
夫に本音を伝えられたことで、一気に気持ちが楽になりました。
食事を作る際は毎回夫に味見をお願いしました。
また味付けも最低限にして、あとは家族におまかせしました。
カップ麺やスーパーの惣菜も購入し、私が用意しなくてもいいようになりました。
やはり、気持ちを共有するのは大事だと思いました。
同居していない身内には、なおさら伝わりずらかった
私の様子を間近で見ていた夫でさえ、後遺症の大変さは伝わりにくかったです。
離れてくらす家族に伝えるのは、更に難しかったです。
親兄弟にもコロナの後遺症になったとを連絡しましたが、どんな状態なのかピンと来ていないようでした。
本人たちに悪気はなくても、どこか興味本位というか、真剣味が足りないような応答にがっかりしたのを覚えています。
後遺症って、人に伝えるのがすごく難しいんですね。
当事者が感じる不安、不便、不満はひたひたと増えていくばかりなのに。
今も後遺症に苦しまれている方がいらっしゃるでしょう。
おひとりで悩んでいるなら、とにかく声を上げてみませんか?
遠くにいる家族でも、職場の同僚でも、病院の先生でも。
一人で抱えるにはあまりにも過酷です。
「今どんな症状が出ていて、どれだけ気分が落ち込んでいるか」
をどんどんアピールしてください。
直接的に症状の緩和に繋がるとは言えませんが、気持ちは立て直せる気がします。
元気な嫁が初めて弱音を吐いたら、義実家が動いた
夫の両親には元気で丈夫な奥さんと思われています。
結婚して15年以上、弱い部分や辛さを出したことはありません。
そんな私が、後遺症のことだけはありのままに気持ちを伝えました。
「後遺症がすごく辛いです」
と正直に言ったら、心底びっくりしていました。
それからすぐにレトルト食品を山のように送っていただきました。
有り難かったですし、素直に打ち明けたことによる親族の反響に助けられました。
あなたの周りで後遺症に苦しんでいる方がいたら
身近に後遺症を発症した人がいたら、よく話を聞いてほしい

後遺症で悩んでいる人に対して、周囲が出来ることって何かしら…
何度も言いますが、味覚・嗅覚障害を抱えると食事への関心が急降下します。
食べることすら億劫になるんですから、作るなんて尚更です。
身近に後遺症を抱えている人がいたら、下記のような点に関心をもってみませんか?
- 具体的にどんな症状なのか
- 辛いことは何か
- 周囲がやったほうがいいこと、だめなことは何か
- ただただ寄り添う
人によって個人差はあると思いますが、まずは食事関係の家事を周囲で分担しましょう。
作るのが大変なら、惣菜買うでもいいんですよ。
これだけで心理的な負担は軽くなります。
(これからは夫が台所に立つ機会を増やそうと固く決意しました。)
まとめ

現在は味覚・嗅覚ともに不安はなくなりました!
40歳を迎え、後遺症も経験した…
もう少し周りの人を信じて頼る人生を送ってみようかな…
はじめての事だらけで、大混乱の日々でした。
私の場合、症状は一進一退を繰り返し何度もぬか喜びを味わいました。
たった10日間だったなんて信じられないくらい、長く感じました。
Twitterでは多少強がり、毎日明るく呟いていました。
そうでもしないと、ポキっと気持ちが折れそうだったから。
本当はとてもとても怖かったです。
でも、SNSのお陰で沢山の情報も知ったし、励ましのメッセージも頂けて心強かったです。
今回体験記を書くにあたり、ネットやTwitterで新型コロナウイルスの様々な後遺症に悩まれている方々の現状を目にしました。
どうか症状が少しでも和らぎますように。
一日でも早く、穏やかな生活が戻りますよう、心から祈っています。
コロナにはもうかかりたくないよーー!!!
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